
ビットコインやイーサリアムを長期保有するためにハードウェアウォレットを探していると、候補のひとつになるのが「Ledger Nano S Plus」です。
Ledgerには大画面のタッチディスプレイを搭載したモデルや、Bluetoothでスマホと接続できるモデルもあります。
その中でNano S Plusは、USB接続と2つのボタンで操作する非常にシンプルなモデルです。
わたしは実際にNano S Plusを使っていますが、ビットコインなどをつみたてて長期保有することが目的なら、これで十分だと感じています。
理由のひとつは、ハードウェアウォレットを想像していたほど頻繁に使わなかったからです。
わたしの場合、Nano S Plusを操作するのは数か月から数年に一度程度です。ビットコインについては、保管しているだけなのでほとんど本体を操作しません。
それなら、Bluetoothや大画面などのために追加のコストをかけるより、そのお金ですこしでも多くビットコインを買っておいたほうがいいと思っています。
しかし、Nano S Plusを誰にでもおすすめできるかというと、そうではありません。
パソコンを持っていない人や、外出先からスマホで使用したい人には、Nano XやNano Gen5など他のモデルの方が使いやすいでしょう。
この記事では、実際にNano S Plusを使ってきた経験から、操作性やメリット・デメリット、どんな人に向いているのかを紹介します。
「できるだけコストを抑えて暗号資産を自己管理したいけれど、Nano S Plusで本当に十分なのか」と迷っている方は、参考にしてみてください。
- Nano S Plusを実際に使った感想
- メリット・デメリット
- 長期保有ならNano S Plusで十分
- 上位モデルとの違い
- おすすめな人・向かない人
- 知っておきたい安全性
Ledger Nano S Plusとは

Ledger Nano S Plusは、Ledgerが販売している暗号資産向けのハードウェアウォレットです。
ビットコインやイーサリアム、ソラナなどさまざまな暗号資産を管理でき、秘密鍵をインターネットに常時接続されたパソコンやスマホから切り離して管理できます。
Nano S Plusの特徴は、Ledger製品の中でもかなりシンプルな構成になっていることです。
タッチディスプレイやBluetooth、内蔵バッテリーは搭載されておらず、基本的にはUSBケーブルでパソコンなどに接続して使用します。
本体を操作するために使うのも左右2つのボタンだけです。
その分、大画面やワイヤレス接続を搭載した他のデバイスと比べて価格を抑えやすく、「暗号資産を安全に保管することが主な目的」という人には選びやすいモデルだと思います。
Nano S Plusの基本スペック
Nano S Plusの主なスペックは以下のとおりです。
| 項目 | Ledger Nano S Plus |
|---|---|
| サイズ | 62.4 × 17.4 × 8.2mm |
| 重量 | 21g |
| ディスプレイ | 128 × 64px モノクロOLED |
| 操作方法 | 2ボタン |
| 接続 | USB Type-C |
| Bluetooth | 非対応 |
| バッテリー | 非搭載 |
| Secure Element | ST33K1M5 |
| セキュリティ認証 | CC EAL6+ |
| OS | Ledger OS |
| 主な対応環境 | パソコン・Androidスマホ |
| 素材 | ステンレススチール・プラスチック |
本体はステンレススチールとプラスチックで作られています。
高級感のあるデバイスというほどではありませんが、購入価格を考えると特別チープ感はそれほどありません。
画面は128×64pxと小さく、一度に表示できる文字数は多くないです。
Ledger製品の中での位置づけ
現在のLedgerには、Nano S Plus以外にもNano X、Nano Gen5、Flex、Staxなど計5種類のモデルがあります。
Nano S Plusはその中でも、機能を絞った有線接続中心のモデルと考えると分かりやすいです。
Nano XにはBluetoothがあり、Nano Gen5やFlex、Staxではさらに大きなタッチディスプレイを使って取引内容を確認できます。
こうした機能はあれば便利ですが、その便利さに追加料金を払う価値は大きく変わります。
パソコンで使用する予定で、ビットコインなどのつみたて・長期保有を中心に考えているのであれば、Nano S Plusはかなり合理的な選択肢だと思います。
Ledger Nano S Plusを実際に使ってレビュー
紫乃ここからは、実際にLedger Nano S Plusを使って感じた操作性や使い勝手を紹介します。
スペックだけを見ると、画面が小さく2つのボタンで操作するので、使いづらいデバイスのように感じるかもしれません。
実際、初めてハードウェアウォレットを使った際は操作方法に少し戸惑いました。
ただ、何度か署名や送金に使ってみると操作にはすぐ慣れますし、長期保有が中心で使用頻度が低い場合は、大きな不満を感じることはありませんでした。
本体のサイズと質感
Ledger Nano S Plusは非常にコンパクトです。

紫乃100円玉と比べてこれくらいのサイズ感です。
初めて手にしたときは、想像していたよりも小さく感じ、失くさないか不安でした。
重さも約21gしかないため、とても軽量です。
持ち運びやすい点は優秀ですが、わたしは主に自宅で使用しているので、携帯性にはあまりメリットを感じませんでした。
本体は金属製のカバーとプラスチックを組み合わせた構造になっています。
Nano Gen5など上位モデルと比較すると、よりシンプルで実用品らしい外観です。
ディスプレイの見やすさ
Ledger Nano S Plusの画面は小さく、一度に表示できる文字数は多くありません。
長い文章やウォレットアドレスを確認するときには、横方向へ何度かスライドして確認します。
正直なところ、見やすいディスプレイとは言えません。
ただし、
- PINコードを入力する
- 受取アドレスを確認する
- 署名内容を確認する
- 操作項目を選択する
といったNano S Plus本来の用途では、問題なく確認できます。
画面の明るさや文字の読みやすさなど視認性には不満を感じていません。
ウォレットアドレスを確認するときも、画面が小さいことで照合できないと感じたことはありませんでした。
一方で、署名内容をより大きな画面で確認したい人には、Nano Gen5やFlex、Staxなどの大画面モデルの方が向いています。
Ledger Staxとの比較がありますので、見てみてください。
Nano S Plusは、あくまで「必要な情報を確認できれば十分」という人向けの画面だと考えると分かりやすいです。
2ボタン操作の使いやすさ
Ledger Nano S Plusは、本体上部にある2つのボタンで操作します。
基本的な操作は、
- 左右のボタンで項目を移動する
- 2つのボタンを同時に押して決定、署名する
というシンプルなものです。
実際に使用するうえで、ボタンに関して一番面倒に感じるのはPINコードの入力です。
左右のボタンで数字を選択して入力していくため、8桁くらいのPINを設定すると、解除のたびにそれなりの手間がかかります。
セキュリティを考えれば必要な操作ですが、起動のたびに毎回入力することを考えると、長すぎるPINを設定したくなくなる気持ちはあります。
また、長いウォレットアドレスを確認する作業も、それなりに時間がかかります。
パソコンやスマホに表示されたアドレスとNano S Plus本体に表示されたアドレスを何度も見比べる必要があるためです。
ただ、これはNano S Plus特有の問題というより、ハードウェアウォレットで安全に送受信する以上、必要になる確認作業です。
タッチディスプレイがあればすこしは快適になりますが、アドレス確認自体は省略すべきではありません。
数回使えば操作に慣れますので、2つのボタンだけでも操作に困ることはないと思います。
パソコンへの接続と普段の使い方

Ledger Nano S Plusは、パソコンかAndroidスマホにUSBケーブルで接続して使用します。
接続した状態でLedger Walletを起動すれば認識され、普段の操作も安定しています。
数年使用していますが、これまでに「接続しても認識されない」「通信が途中で切れる」といった不具合は経験していません。
ケーブルを挿せば使えるという分かりやすさはNano S Plusのメリットだと感じています。
スマホと比べれば、パソコンを起動してケーブルを接続する分だけ手間はかかります。
ただ、暗号資産を送金したり署名したりするときには、少し手間がある方が落ち着いて内容を確認できます。
個人的には、暗号資産の管理まで何でもワンタップで完了するほど手軽になることが、必ずしも良いことだとは思っていません。
ハードウェアウォレットを使うときは、焦らず一度手を止めてアドレスや取引内容をしっかり確認する。
これくらいの不便さは、むしろ安全に使うためには悪くないと感じています。
Nano S Plusを使って感じたメリット
Nano S Plusは、Ledgerの製品の中では最低限まで機能を絞ったシンプルなモデルです。
しかし、実際に長期保有を目的として使ってみると、余計な機能が少ないこと自体がメリットだと感じる場面もあります。
わたしが特にメリットだと感じているのは、次の3つです。
- Ledger製品の中ではコストを抑えやすい
- バッテリーの管理が不要
- 使用頻度が低い人は安価なモデルでOK
紫乃ひとつずつ見ていきましょう。
Ledger製品の中ではコストを抑えやすい
Ledger Nano S Plusは、現行のLedger製品の中では比較的価格を抑えて購入できるモデルです。
公式サイトから、送料込みで1万円ほどで購入できます。
上位モデルと比べてBluetoothやタッチディスプレイ、大型画面といった機能を省き、暗号資産の保管や署名に必要な機能のみに絞られています。
一方で、秘密鍵を安全に保管する仕組みやSecure Elementなど、ハードウェアウォレットとして重要なセキュリティの基本設計は、上位モデルと共通しています。
操作性や高級感よりも、安全に保管するための基本機能を重視したい人にとって、コストを抑えやすいモデルです。
ビットコインなどを長期保有することが目的であれば、上位モデルの便利機能を必要としない人も多く、価格と機能のバランスがよいと感じています。
バッテリーの管理が不要
Ledger Nano S Plusは毎回USBケーブルで接続して使用するため、バッテリーが搭載されていません。
使いたいときに、パソコンやAndroidスマホへ接続すればそのまま起動できます。
これは長期間使わないこともあるハードウェアウォレットと相性が良いと感じています。
スマホのように毎日充電する機器ならバッテリー搭載は当然便利ですが、数か月使わない可能性があるデバイスでは、充電状態を気にしなくてよいことにもメリットがあります。
もちろん、バッテリーがなければ外出先で単体使用することはできません。
Nano S Plusの場合は、利便性を犠牲にする代わりに構造がシンプルになっていると考えると分かりやすいです。
また、ハードウェアウォレット本体が永久に故障しないわけでもありません。
実際にXなどではハードウェアウォレットの故障報告を目にすることはあります。
しかし、正しくリカバリーフレーズを保管していれば、本体が故障したからといって暗号資産そのものを失うわけではありません。
そのため、わたしは本体の故障よりも、リカバリーフレーズを適切に管理できているかの方を重要だと考えています。
使用頻度が低い人は安価なモデルでOK
紫乃わたしがLedger Nano S Plusを使っていて最も強く感じているのが、この点です。
暗号資産をつみたてて長期保有する場合、ハードウェアウォレットは想像以上に使いません。
暗号資産を取引所で購入して、Nano S Plusのアドレスへ送金する一方だからです。
ビットコインを保有しているだけなら、売却するまでは一度も操作する必要がないケースもあります。
数か月から数年に一度しか使わないなら、追加コストを払って上位モデルを購入する必要はないと思います。
紫乃わたしなら、デバイスにコストをかけるより、その分ですこしでも多くビットコインを買っておきます。
Nano S Plusを使って感じたデメリット
Ledger Nano S Plusは長期保有用途では十分使える一方で、便利さを重視すると不満が出やすいモデルでもあります。
実際に使っていて感じた主なデメリットは、次のとおりです。
- スマホ中心の利用には向かない
- 本体の操作が英語
- ディスプレイが小さい
紫乃ひとつずつ見ていきましょう
スマホ中心の利用には向かない
Ledger Nano S Plusは、USBケーブルでパソコンかAndroidスマホに接続して使用する必要があります。
自宅にパソコンがある人なら大きな問題ではありませんが、普段スマホだけで生活している人にとっては使いにくいモデルです。
特に、パソコンを持っておらず、iPhoneしか使っていない場合は、Nano S Plusだと困る場面が多いと思います。
Nano S PlusはBluetoothに対応していないため、スマホとワイヤレスで接続して署名することもできません。
そのため、外出先でも使用したい人や、DeFi・NFTなどで頻繁に使う人にとっては、この点が不便に感じやすいです。
一方で、わたしのように自宅のパソコンで使うことが中心なら、Bluetoothがないことを大きな欠点とは感じません。
長期保有が中心であれば、スマホ対応やBluetoothよりも、必要なときにパソコンへ接続して使えれば十分という人も多いと思います。
スマホだけで暗号資産の管理を完結させたい場合は、Nano XやNano Gen5など、スマホとの接続に対応した上位モデルを選んだ方が使いやすいでしょう。
本体の操作は英語
Ledger Nano S Plusで不便に感じる点のひとつが、本体側の表示が日本語に対応していないことです。
初期設定や署名時の確認は、英語を読んで進める必要があります。
英語が苦手な人にとっては、最初のハードルになりやすい部分です。
一方で、アプリのLedger Walletは日本語に対応しており、画面上の案内も比較的分かりやすくなっています。
特に、暗号資産の送金や署名では表示内容を理解せずに操作するのは避けたいので、分からない単語があれば確認しながら進める必要があります。
なお、これはNano S Plusだけの問題ではありません。
上位モデルを選べば日本語表示になるわけではなく、Ledger製品全体として本体側の日本語ローカライズは十分とは言えません。
そのため、
「英語表示が嫌だから上位モデルを選ぶ」
という解決にはならない点には注意が必要です。
個人的には、Ledger Walletの日本語対応がしっかりしているだけに、本体側も今後日本語に対応してくれるとかなり使いやすくなると感じています。
ディスプレイは小さい
Ledger Nano S Plusの画面は必要最低限のサイズです。
PIN入力程度なら問題ありませんが、長い文字列や署名内容を見るときには横スクロールが多くなる欠点があります。
特にウォレットアドレスのような長い文字列は、パソコンに表示された内容と本体画面を何度も見比べる必要があります。
これは安全のために必要な作業とはいえ、決して快適ではありません。
また、DAppsを頻繁に利用する人ほど、大きな画面で署名内容を確認できるメリットは大きくなります。
Nano Gen5やStaxなどの大画面モデルであれば、表示できる情報量が増えるため、確認作業はしやすくなります。
一方で、ビットコインを長期保有するだけなら画面を見る機会そのものが少なく、この弱点が気になる場面も限定的です。
Nano S Plusは、画面の見やすさよりも価格とシンプルさを優先したモデルと考えるのがよいでしょう。
Nano S PlusとNano Xはどちらを選ぶ?

Nano S PlusとNano Xは見た目や基本的な操作方法がよく似ています。
一方で、実際に使い分けるうえでは大きな違いがあります。
特に重要なのは、次の3点です。
- パソコンを使うか
- スマホだけで管理したいか
- 外出先で署名する機会があるか
わたしはNano S PlusとNano Xの両方を使っていますが、自宅にパソコンがあり、長期保有が中心ならNano S Plusを選びます。
反対に、iPhoneしか持っていない人や、外出先でも署名したい人は、Nano Xやほかのスマホ向けモデルを検討するのがおすすめです。
パソコンを持っているならNano S Plus
自宅にパソコンがあり、そこでLedgerを使うのであれば、Nano S Plusで困る場面はかなり少ないです。
USBケーブルを接続してLedger Walletを起動すれば使えるため、接続方法も非常にシンプルです。
Nano Xはスマホ接続はBluetoothに対応しているものの、パソコンで使う場合はUSB接続になるため、自宅での使用感に大きな差はありません。
画面サイズも大きく変わらず、操作も同じように2つのボタンで行います。
そのため、
- 自宅でしか使わない
- パソコンを持っている
- BTCやETHを長期保有する
- 署名頻度が低い
という人であれば、Nano S Plusの方が価格と機能のバランスはよいと感じます。
紫乃わたし自身、いま初めてLedgerを1台だけ買うとすれば、パソコンがあることを前提にNano S Plusを選びます。
スマホ中心ならNano X
普段パソコンを使わず、iPhoneを中心に暗号資産を管理している場合は、Ledger Nano S Plusでは不便です。
Nano S PlusはBluetoothに対応していないため、iPhoneだけで完結する使い方はできません。
紫乃iPhoneにUSBケーブルで接続してもデバイスが認識されません。
その点、Nano XはBluetoothを利用できるため、スマホとの接続がしやすく、外出先でも署名できます。
実際、DeFiやNFTなどで署名する頻度が高い人にとっては、この違いはかなり大きいです。
わたしも過去に、自宅にいられない時間帯にNFTのMintがあり、Nano S Plusでは対応できなかったことがあります。
こうした場面が多い人なら、Bluetooth対応モデルの方が使いやすいでしょう。
ただし、スマホ中心だからといって、必ずNano Xだけを選ぶ必要はありません。
Nano XはNano S Plusより価格が高いため、予算に余裕があるなら、Nano Gen5やStaxなど、画面が大きく署名内容を確認しやすいモデルも比較検討する価値があります。
他のLedgerモデルまで検討する必要はある?
Ledgerには、画面が大きいモデルや、タッチ操作に対応したモデルがあります。
せっかく買うなら上位モデルの方が良いのでは?と迷う人もいると思います。
ただ、暗号資産の長期保有が目的なら、上位モデルまで検討する必要はないと思います。
重要なのは、性能が高いモデルを選ぶことではなく、自分の使い方に必要な機能があるかどうかです。
長期保有では使用頻度が少なくなりやすいため、必要最低限の機能に絞られたNano S Plusで十分だと思っています。
逆に、使用頻度が高くなりそうだったり、単純にガジェット好きな方であれば、上位モデルを選ぶ意味はあります。
タッチ操作や大画面を求めるなら上位モデルも候補
Ledger Nano S Plusを使っていて、わたしが上位モデルとの差を感じるのは画面の見やすさです。
Nano S Plusでも必要な情報は確認できますが、画面が小さいため、一度に表示できる情報量は多くありません。
頻繁にDAppsを利用したり、署名する機会が多かったりする人なら、大きな画面を搭載したモデルの方が使いやすいでしょう。
タッチ操作についても同じです。
Nano S Plusの2つのボタン操作は慣れれば問題ありませんが、スマホの操作に慣れている人からすると、決して快適とは言えません。
こういう快適さまで重視したい場合には、Nano Gen5やStaxなどの上位モデルも検討する価値があります。
紫乃わたしは単純にCryptoの世界やLedgerの製品が好きだからLedger Staxを買いました。
Ledger全モデルを比較したい場合
Nano S Plusだけでなく、Nano XやNano Gen5、Staxなども含めて比較したい場合は、Ledger全体をまとめたページも参考にしてください。
各モデルの特徴や違い、どんな使い方に向いているのかを一覧で比較しています👇

Nano S Plusは、すべての人にとって一番よいLedgerではありません。
まずNano S Plusで必要なことができるかを考え、そのうえで「スマホでも使いたい」「もっと大きな画面がほしい」と感じる場合には、より上位モデルを検討するのがおすすめです。
Nano S Plusがおすすめな人
ここまでの内容を踏まえると、Ledger Nano S Plusは特に次のような人に向いています。
- パソコンを持っている
- BTCやETHを長期保有したい
- つみたて中心でLedgerを頻繁に操作しない
- 外出先で署名する必要がない
- Bluetoothやタッチ操作を必要としていない
- デバイス自体の高級感よりも実用性を重視する
- ハードウェアウォレットに必要以上のコストをかけたくない
初めてハードウェアウォレットを購入する人が真っ先に候補にするモデルだと思います。
いきなり高価な上位モデルを買わなくても、Nano S Plusには暗号資産を安全に保管するための機能は十分に備わっています。
Nano S Plusをおすすめしない人
一方で、次のような人にはNano S Plusをあまりおすすめできません。
- パソコンを持っていない
- iPhoneだけで暗号資産を管理したい
- 外出先でも使いたい
- DeFiやNFTなどで頻繁に使う予定
- 大きな画面で署名内容を確認したい
- タッチ操作を重視する
- 1台を長く使い、今後ほかのウォレットを買う予定がない
特に注意したいのは、「とにかく一番安いLedgerを買えばよい」と考えている場合です。
Nano S Plusは価格を抑えやすいモデルですが、用途が合っていなければ後からもう1台欲しくなるかもしれません。
たとえばiPhoneしか持っていない人であれば、基本的にNano S Plusだけでは使用することができません。
また、頻繁に使用する人の場合、小さな画面や2ボタン操作を何度も使うことになるため、使い勝手の差を感じやすくなります。
こうした人は、Nano Gen5やFlex、Staxなど画面の大きなモデルも比較してから決めるのが良いです。
もうひとつ、わたしが上位モデルも検討した方がよいと思うのが、「Ledgerは1台しか買わない」と最初から決めている人です。
Nano S Plusを購入したあとに、
- 「やっぱり大きな画面がほしい」
- 「スマホでも使いたい」
となって2台目を買うのであれば、最初から上位モデルを選んだ方が結果的に安く済む可能性があります。
Nano S Plusは、すべてを1台で快適にこなすためのモデルというより、保管を中心に必要な機能を低いコストで揃えたモデルだと考えると選びやすいと思います。
Ledger Nano S Plusは安全?
Ledgerを使う大きな目的は、暗号資産を動かすために必要な秘密鍵を、インターネットに常時接続された環境から切り離して管理することです。
ただし、Nano S Plusを使えば暗号資産が絶対に安全になるわけではありません。
デバイスの仕組みに加えて、送金時の確認やリカバリーフレーズの管理など、使う側の行動も重要です。
Ledgerを使っても「絶対に安全」ではない
Ledgerを使っているからといって、どのような操作をしても安全というわけではありません。
たとえば、
- リカバリーフレーズを他人に教える
- 偽サイトにリカバリーフレーズを入力する
- 内容を確認せずに署名する
- リカバリーフレーズを紛失する
こういったミスまでNano S Plusが防いでくれるわけではありません。
ハードウェアウォレットは秘密鍵を守るための仕組みを提供してくれますが、最終的に何へ署名するかを判断するのは自分です。
そのため、「Ledgerを持っているから安全」と考えるのではなく、本体に表示された内容を確認してから承認することが重要です。
リカバリーフレーズの管理が重要
Ledger Nano S Plusを使ううえで、本体以上に重要なのが24語のリカバリーフレーズです。
本体が故障したり紛失したりしても、リカバリーフレーズを正しく保管していれば、対応する別のウォレットで復元できます。
反対に、リカバリーフレーズを他人に知られると、あなたのウォレットを復元され、資産を盗まれてしまう可能性があります。
そのため、
「Ledger本体をなくさないこと」以上に、「リカバリーフレーズをなくさず、他人にも知られないこと」が重要です。
電子機器である以上、Nano S Plusが将来故障する可能性はあります。
長期保有で本当に考えておきたいのは、本体が壊れることよりも、長い期間にわたってリカバリーフレーズをどう安全に残すかです。
そして、ここで日本ではもうひとつ考えておきたい問題があります。
それが地震や火災などの災害リスクです。
日本で考えておきたい災害リスク
リカバリーフレーズを自己管理するとき、わたしが特に気になるのが、災害です。
日本では地震だけでなく、火災、水害、土砂災害なども発生する可能性が考えられます。
たとえば、Ledger Nano S Plusと、紙に書いたリカバリーフレーズを同じ自宅で保管していた場合、災害によって両方同時に失う可能性があります。
これはLedgerのようなハードウェアウォレットを使うようになってから、わたし自身が怖いと感じるようになった部分です。
- 火災
- 水濡れ
- 紛失
- 家屋の倒壊
- 保管場所を忘れる
このような物理的なリスクに対する対策を考える必要があると思っています。
そのため、長期保有を前提にLedgerを使うのであれば、「10年以上先までリカバリーフレーズをどう残すか」という点を考えておくことをおすすめします。
Ledger Recovery Keyは上位モデルを選ぶ理由になる
これらの災害リスクを考えたとき、わたしが上位モデルに魅力を感じる機能のひとつが「Ledger Recovery Key」の存在です。

紫乃左がLedger Stax本体、右の黒いカードがLedger Recovery Keyです。
Recovery Keyは、24語のリカバリーフレーズを暗号化して保存できるカード型のバックアップです。
本体と同様にPINで保護されており、NFCに対応するLedgerデバイスと直接通信して、そのウォレットのリカバリーフレーズのバックアップや復元に利用できます。
対応しているデバイスは、Ledger Nano Gen5、Flex、Staxの3種類です。
この仕組みは、災害の多い日本では面白い選択肢だと思っています。
たとえば、
- 24語のリカバリーフレーズは自宅などで安全に保管する
- Recovery Keyは財布などに入れ、別の場所で携帯する
このように、バックアップを物理的に分散できます。
万が一、自宅にLedger本体とリカバリーフレーズを残したまま避難しなければならなくなっても、財布にRecovery Keyが入っていれば、あとから対応する別のデバイスを用意してウォレットを復元する手段を残せます。
これは、大画面やタッチ操作とは少し違う意味で、上位モデルへ追加のコストを払う理由になり得ると感じています。
ただ、Recovery Keyを24語のリカバリーフレーズそのものの代わりにするのはおすすめできません。
リカバリーフレーズを安全に保管したうえで、もうひとつの復旧手段としてRecovery Keyを持つという考え方がよいでしょう。
災害時のバックアップまで考えるのであれば、Recovery Keyに対応しているNano Gen5、Flex、Staxも十分検討できるデバイスだと思います。
ここまで長期保有では上位モデルの操作性を持て余す可能性があると書いてきましたが、Recovery Keyについては長期保有だからこそ価値を感じられる機能だと思います。
正規の販売経路から購入する
紫乃最後に注意したいのが、Ledgerの製品をどこで購入するかです。
ハードウェアウォレットは秘密鍵を管理するためのデバイスなので、少しでも安く買うために出所の分からない中古品や非正規の販売元を選ぶのは全くおすすめできません。
Ledgerは公式サイトまたは正規販売店から購入することを推奨しています。
実際に、わたし自身もAmazonなどで怪しい商品が売られているのを見かけたことがあります👇

Ledger Nano Xは、公式サイトで17,000円ほどで販売しているものなので、こんなに安く販売できるはずがないと思います。
Nano S Plusなどのハードウェアウォレットは、資産を安全に保管するために購入するものです。
すこし安く買うために新しいリスクを増やしてしまっては本末転倒なので、わたしは公式サイトからの購入をおすすめしています。
Ledger製品の安全な買い方はこの記事で詳しく解説しています👇

Nano S Plusの初期設定は難しい?
Nano S Plusの初期設定は、ハードウェアウォレットを初めて使う人にとっては少し難しいと思います。
わたし自身も最初は、
- 本体の英語表示を確認しながら操作する
- PINを設定する
- 24語のリカバリーフレーズを正しく書き留める
- Ledger Walletと接続する
といった作業を慎重に進めた記憶があります。
特にリカバリーフレーズは、間違えたり紛失したりすると将来ウォレットを復元できなくなるので、普段のアプリ設定とは少し違った緊張感があります。
一方で、操作そのものが難しいわけではありません。
Ledger Wallet側には日本語の案内があり、本体の表示と照らし合わせながら順番に進めていけば設定できます。
Nano S Plusの2ボタン操作には最初こそ慣れが必要ですが、初期設定を一通り終えるころには基本的な操作方法も理解できました。
わたしが不便に感じるのは、Nano S Plus本体側が日本語に対応していないことです。
初期設定中には英語の文章を読んで判断する場面があるため、意味が分からないままボタンを押すのではなく、不明な表示があれば一度調べてから進めた方が安心です。
ただし、これはNano S Plusだけの問題ではなく、上位モデルを選べば日本語になるわけでもありません。
初期設定で最も重要なのは、早く終わらせることではなく、「リカバリーフレーズを正しく記録し、自分以外に知られない状態で保管すること」です。
ここさえ慎重に進めれば、ハードウェアウォレット初心者でもNano S Plusを設定することは十分可能だと思います。
紫乃初期設定の画面や操作方法を詳しく確認したい場合は、別の記事で画像付きで解説しています👇

Nano S Plusで暗号資産を保管する流れ
Nano S Plusを使った暗号資産の保管は、基本的には次の流れです。
- Ledger Walletで対象の暗号資産を追加する
- Nano S Plusで受取アドレスを確認する
- 取引所や他のウォレットから送金する
- 着金を確認して、そのまま保有する
- 売却するときは取引所などへ送り返す
重要なのは、送金前にパソコン上のアドレスだけでなく、Nano S Plus本体に表示されたアドレスも確認することです。
わたしも使い始めた当初は、この確認にどれほど意味があるのか分かっていませんでした。
しかし、パソコン側の表示だけを信用せず、秘密鍵を管理しているLedger本体でもアドレスを確認することが、ハードウェアウォレットを使ううえで重要だと分かるようになりました。
初めてBTCを送ったときは、トランザクションが承認されるまで時間がかかるため、本当に正しく送れたのか不安になったこともあります。
慣れるまでは、いきなり大きな金額を送るのではなく、少額でテスト送金してから残りを送る方法も安心です。
一度保管してしまえば、長期保有中にNano S Plusを操作する機会はそれほど多くありません。
送金方法については取引所ごとに操作が異なるため、詳しい手順は別記事で解説していきます。
Ledger Nano S Plusのよくある質問
まとめ|パソコンがあり長期保有中心ならNano S Plusは有力な選択肢
わたしはこの数年間、Ledger Nano S Plusを実際につみたて用途で使ってきました。
そのうえで、パソコンを持っていることが前提にはなりますが、ビットコインなどつみたてが目的なら、これで十分だと感じています。
Nano S Plusは、
- Bluetooth非対応
- 小さな画面
- 2ボタン操作
- バッテリー非搭載
と、上位モデルに比べるとかなりシンプルです。
ただ、長期保有の場合には、操作する機会そのものが少ないため、こうした違いが大きな不満にならない人も多いと思います。
特に、「安全に保管できれば、デバイス自体に高機能や高級感は求めない」という人には、コストと機能のバランスがよいモデルです。
一方で、iPhone中心で管理したい人、DAppsで頻繁に署名する人、大きな画面で署名内容を確認したい人は、Nano XやNano Gen5、Staxなども含めて比較した方がよいでしょう。
また、日本で長期保有することを考えるなら、災害時のバックアップも無視できません。
Nano Gen5、Flex、Staxのみ利用できるLedger Recovery Keyは、リカバリーフレーズとは別の復旧手段を持てるため、上位モデルを選ぶ理由のひとつになると感じています。
それでも、わたしが今から初めて1台だけハードウェアウォレットを購入するとして、パソコンがあるならNano S Plusを選ぶと思います。
ビットコインをつみたてて10年以上持つような使い方なら、必要以上に高価なデバイスへコストをかけるより、リカバリーフレーズの管理や送金時の確認を丁寧に行うことの方が重要です。
Nano S Plus以外のモデルも含めて比較したい場合は、Ledger全モデルの特徴をまとめたページも参考にしてください👇








コメント